粗相の理由。

 男性用小便器のそばに液体がこぼれているのを見かけることがある。きっと誰かが粗相をして、そのままにしておいたのだろう。自己処理をしないというマナーの悪さはもちろん問題だし嘆かわしいことだが、今回の主題はそこではない。問題はなぜ粗相をしてしまうのか、だ。その原因は一つではないだろうが*1、多くの場合は行為者の立ち位置に問題があるのだろう。普通に考えれば、しっかりと前に踏み出せば、よほどの突風が吹きすさぶ中でもない限り、便器からこぼれることはありえない。つまり言い換えれば、微妙に下がった位置から便器に向かって用を足そうとする人がいるということでもある。
実は私も「便器から半歩下がって用を足す派」なのである。なぜか。それは、便器に当たって跳ね返ってきたものが自身にかかるのが嫌だからである。最前部まで進み出ると、自身と便器の内側までとの距離は意外に短い。足の短い私であっても、腰から足元までの高さはそこそこはあるのだから、排尿の勢いによっては飛沫がズボンのすそあたりにかかっても不思議ではない。いや、目に見えないかほどの小さな飛沫であれば絶対にかかっているはずだ。それが嫌なので、私は「便器から半歩下がって用を足す派」になったのである。もちろん粗相をしないよう、勢いの低下とともにじりじりとすり足で前に進み出る。または、初めから勢い全開でなさそうな時も最前部に位置取る。半歩下がった位置で構えていたが初速に思ったほどの勢いがなく、粗相をしてしまうことも稀にはあるが、その場合は事後にトイレットペーパーで拭き取る。
そういうわけで、もっと奥行きのある小便器を製造してくれることを強くメーカーに望んでいる。自分で出したものとはいえ、足元にかかったり、こぼれたのを拭き取ったりするのは、やはり愉快ではない。

*1:小さかった頃、左斜め前方と右斜め後方との二筋に分かれて同時放出され、自身の右の太ももに引っ掛けてしまったことがある…。奇跡だと思う。