喉奥に潜む悪魔

 我が家の夕食はとにかく魚が多い。肉はあまりない。別に魚が嫌いなわけではない。むしろ好きだと言える。しかし、肉だって食いたいんやーという心の叫びもむなしく、本日もアジが食卓に並ぶ。ついでに言っておくと、我が家の食卓に並ぶのは主に健康に良い青身魚であって、白身の出番は少なく、赤身は小僧寿司の上に乗っかってるやつくらいしか見かけない。常連なのはサンマ・イワシ・アジ・サバなどだ。青身と言えどもブリ級の魚はなかなかお目にかかれない。
 夕食も終盤を迎え、ビールは空になり、後はごはんと味噌汁で締めだなと思って食べていたアジの最後の一欠けらを飲み込む。初め気付かなかったが、ご飯を飲み込んだときに気付いた。
 ノドノオクニナニカニブイイタミガ…。

 まただ。またしても魚の骨が喉の奥に引っかかっているのだ。昔はそんなこともなかったのだが、近年、「魚の骨喉に引っかかり率」が急激に高くなっている。歳とともに飲み込む力が弱まっているのだろうか、それとも何か変な傷でもついていて引っかかりやすくなっているのだろうか。歯磨きの時、鏡に向かって目一杯口を開ける。あごが外れるんじゃないかって思うくらい目一杯長時間開ける。なんとか肉眼で確認できれば、指を突っ込んで取ってやるのだが、小さすぎるのか位置が悪いのか、発見は不可能だった。鈍痛なので明確に位置を特定できないが、それでも確かに骨は喉の奥に潜んでいる。すっげー鬱陶しい。
 ちょうど先日テレビで、「喉に魚の骨が刺さったときにご飯を飲み込むと取れるというのは間違い」だとやってた。全くその通りだ。それで取れるのなら、食事の終了を待たずに痛みから解放されている。

 この苦しみを切実に訴えれば、我が家の食卓に並ぶ肉比率はもう少し高くなるのだろうか。