ねぇねぇ、あの台風消せたらいくらくれる?

 台風前々日なのにもう風も強まり海上にうねりも出てき始めた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今日接岸予定だった大型タンカーが接岸*1を見合わせた。製油会社側の判断で中止となったのである。確かに台風は近づいているが、今日の作業にはまだ全く支障はない。それでも見合わせざるを得ないのは、いったん接岸させたなら、荷卸が終わるまでに三日かかるからだ。三日もかかれば確実に台風真っ只中。
 さて、船を待たせるとどういうことになるかというと、製油会社側が船をチャーターしてるわけだから、待船料を支払わなくてはならない。で、数十万トンクラスのタンカーともなれば、一説では一時間20万円だとか。で、いつまで待たせるかというと、台風が通り過ぎるまでだからおそらく9月8日まで待たせるのではなかろうか。4日間待たせればざっと2000万円の待船料だ*2。それならば、今日明日だけでも接岸して荷卸をしておけば、台風が去った後それだけ荷卸にかかる時間が短くなり、結果として支払わなくてはならない待船料がその分少なくなると思うかもしれない。しかし接岸離岸を行うと、タグボート*3や綱とり作業にかかる費用は軽く1000万円を越える。しかも二日間の作業では荷卸はほとんど進まない。なぜなら例えば今日の朝から接岸作業を始めたとしたなら、荷卸を開始できるのはもう夕方で、明日の夕方までに離岸させるには明日の午前中の早めには荷卸を終了しなくてはならないからだ。大型船の接岸離岸及び荷卸用ホースの接続作業にはそれほどまでに時間がかかる。しかもまだ台風が来ていないとはいえ、風とうねりの中の離岸作業は危険度も増す。強風にあおられた船が設備を壊したりしたら、油が流出したら、作業員が怪我をしたら。損害は数百億では済むまい*4。だから結局は、数千万円の支出を承知の上で、台風が通り過ぎるのをじっと待つしかないのだ。
 ところで、大型船を接岸させ荷卸をする工場は一つではないわけで、また一つの工場に船が一隻しかいないとは限らないわけで。上述したタンカーよりはいくらか小さいものの、それなりの大きさの船が港内で5隻は待たされる見込みである。まぁ、うちは工場側の会社ではないので、いくら支払いが生じようと直接は関係ない。また、私は大型船の担当でもない。それでも私担当の小型船も3隻ほど待たされる見込みではあるが、まぁ、あまり気にしないことにしよう。

*1:正確には岸壁に着けるわけではなく、ロープやら何やらで海のど真ん中に固定してしまうのだ。岸壁に着けるよりも難しいかもしれない。

*2:天候による遅れの場合は折半らしいのだが、例えば、まだ台風が来ていない今日の分はどうなるのかなど、詳しいことは知らない。東京の商社とかで働いている人は教えてくれ。

*3:船を押したり引いたりするボート。大型船は小回りが利かないので、接岸時・離岸時はどうしても必要になる。上述のタンカーでは接岸作業に4隻のタグボートが必要。

*4:保険はもちろんかけてあるが、明らかな悪天候の中作業を強行して事故を起こしたところで、果たしてどれほど保険が効くものか…。