文系でも理系でも偏ってはだめなのだ。

 id:Wallerstein こと塾講師様の6月21日のブログに文系人間と理系人間の話が少し出ていた。多くの人は特にどちらということもないのだが、ある方面に知識なり技術なりの能力が突出してくると、文系理系が顕著になる場合が多い。そりゃそーだ。文理どちらにも能力の無い者が文系人間にも理系人間にもなれるはずもなく、そういう意味では、あいつは文系人間だとか理系人間だとか言われるということは、少なくともどちらかの能力に秀でているからこそ言われるのだろう。名誉なことだ。
 しかし当然のことながら、さらにさらに優れているのは文理どちらにも能力がある人間である。そういう人の必要性を強く感じるのが、パソコンやその周辺機器などの説明書を読んだときである。きっと、そういう機器を開発した人間は理系方面にさぞ優れた能力を持った人なのだろう。尊敬する。しかし。しかしだ。あの説明書の分かりにくさと分量が、文系的センスの無さを恐ろしいほどに表している。しかし文系の人間では、その機器の能力や仕組みを充分には理解できないので、やはりまともな説明書は作れないのだ。
 以前持っていたパソコンのプリンターが壊れた。印字がかすれるのだ。いくら説明書を読み漁っても、「ヘッドのクリーニングをしましょう」くらいしか書かれていない。もちろんそんなことでは直らないので、買った電気屋に持ち込んだ。
「ああ。しばらく使っていないとヘッドのインクが固まるのでこうなりますよ。こうなったらもうヘッドを交換しないと駄目ですね。」
 電気屋の店員はあっさりと言い放った。そんなことは説明書のどこにも書いていなかった。「機械が動かないときは?→コンセントが入っているかどうか確認してみましょう」みたいな馬鹿げたことはクドイほど書いてあるのに。
「ちなみにどれくらい使わないとこうなるのですか?」
「週に一度くらい使えば大丈夫ですよ。」
 ならば使用説明書にそう書いておけ。企業などで使うプリンターならともかく、家庭で個人が使う場合は目的によって使用頻度にばらつきがある。一週間程度使用しないことなんてざらだろう。
「電源を入れっぱなしにしておけば大丈夫ですよ。」
 だから、使用上の注意に書いておけって。知らなきゃ電源入れっぱなしで放置するか。
 一万円で買ったプリンターがヘッド交換に五千円だって。アホくさ。
 パソコンを買い換えたときにプリンターも買い換えた。店員にそのことを訊いてみた。
「そんなことはありませんよ。一ヶ月くらいは大丈夫ですよ。」
 …どちらにしても駄目なんだな。やはり取り扱い説明書には何も書いてなかった。しばらく使わないと駄目になるというのは、そんなにも世間では当たり前の常識なのか?コンセントを入れないと家電が動かないという事象よりももっと当たり前の常識なのか?それとも、電気屋のにいちゃんがあっさりと答えられるような問題が、説明書にわざわざ表記する必要の無いくらい極めて稀で専門的知識が問われるようなトラブルなのか?それとも、CANONEPSONがアホなだけで、他のメーカーの説明書には記されているのか?
 とにかく、文理両方の能力に優れた人間が、素人が読んで分かる説明書を書いてくれ。分かるヤツはどうせ説明書なんて読まないのだから。