便器とドライバー

 我が家にはトイレが二つある。男性小用と女性用兼大用だ。ここ最近、男性小用のトイレの水がなかなか止まらなくなってしまった。由々しき事態である。
 男性小用トイレの水を流すときにボタンを押すようになっており、ある程度水が流れた後に自動的に止まるようになっている。しかしながら、もともとこの装置は変だったのだ。決まった時間流れて止まるわけではなく、2秒くらいで止まるときもあれば10秒くらいかかるときもあった。かと言って、一定の水量が流れたら止まるというものでもない。家のどこか他の場所で水道を使っていたりするとほとんど流れない。流れが悪いときなどは何度も水を流していたものだ。
 それが最近、ボタンを押してしばらくしても水が止まらなくなった。正確には、めったに止まらなくなった、と言うべきか。だから用を済ませて手を洗った後、まだ水が止まらないようならばもう一度ボタンを押す。そこからまた10数秒待つ。まだ止まらなければ、またボタンを押して待つ。運がよければ時々止まる。おかげで最近は用を足すのに時間がかかる。なんせ、止まるところを見届けずに立ち去ったりしようものなら、便器から水が際限なく溢れ出して大変なことになってしまうのだ。
 そこで我が家の秘密兵器・マイナスドライバーの登場。水が止まるのを待っていられないときには、これを使って元を閉めてしまう。私ごときの腕力では100%止めることは不可能だが、溢れ出すことが無い程度に水量を抑えることができる。我が家の水浸し危機はこうして回避された。
 しかしながらわずかに水が流れていることには変わりないので、時々トイレを訪れては、元を緩めてみて、水が止まっていないようならばまたボタンを押し、元を閉め直してはこっそりと立ち去るのであった。