言葉遣いについて:文法編

 私のところと違って連日大勢が押しかけているみちる様のブログ(http://d.hatena.ne.jp/tetsujin1204/)で紹介されていたネタから。ラジオのパーソナリティーが「汚名挽回のつもりでしょうかね」のような間違った言葉を使っていたらしい。まぁ、このような間違いは四字熟語の問題なので、正しいか間違っているかどうかがはっきりしている。しかし言葉の使い方について多くの場合は正しいとか間違っているとか言えないことが多い。
 その原因として最たるものが、文法にあると思う。文法が悪いわけではない。ただ、言葉というものは、言葉ができた後に文法ができるのであって、文法に合わせて言葉ができるわけではない。それゆえ時とともに、文法的におかしな使い方も習慣として使われるようになっていく。日本語に限らず全ての言語に共通する難問だ。例えば…
「危ないです」「美しいです」「高いです」
 これらの言い方は文法的に正しいのかどうか。
 現在の文法ではどうなっているのか分からないが、私が幼少の頃習った文法によれば、「です」は体言につくものであり、形容詞にはつかないはずだ。だから、以下のように音便変化させて使わねばならない。
「危のうございます」「美しゅうございます」「高(たこ)うございます」
 現在の文法では形容詞に「です」をつけることが認められているのだろうか?もしも認められていないとしても、習慣的にほとんど全ての日本人が日常で使っているこのような言い回しを誰が間違っていると言えるだろうか?どちらにしても、言語の習慣が先行し、後から文法がついてきた、もしくはこれからついてくるわけである。それならば、習慣的には正しくて文法的には間違っている言葉を使っている場合、それは正しい使い方なのだろうか、間違った使い方なのだろうか。

 私が社会人になってから頻繁に耳にする言葉で最も気に入らない言葉が、「○○さんはいらっしゃいますでしょうか」だ。この不可思議な言葉を自社の人間も他社の人間もよく使っている。「いらっしゃいますか」という敬語を使えなかった連中が使い始めた言葉だろうが、こんなにも普通に周りで使われているのに驚いた。たまたま私の周囲の連中がばかなのか、それとももう習慣的に正しい使い方と呼べるほどに普及しているのか。現在の文法ではどうなのか。謎は深まるばかりである。