誰も知らない

 我が家の天井からは、よく音がする。洋間で聞こえたり風呂場で聞こえたり、もちろんパソコンをいじっている私の部屋の天井から聞こえることもある。聞こえないときの方が多いのだが、聞こえ始めるとなかなか止むことはない。
 イタチか何かが天井に入り込んでいるのではないかとぱぴぃは言う。なるほど。確かに聞こえてくる音は何かが走っているような音であるし、そのイタチなりなんなりが留守にしていれば音はしない。餌か何かを探しに外に出かけては、うちの天井裏が棲家であるかのように帰ってきているのかもしれない。まぁ、この家も古いので、我々の知らないどこかに、小型の獣が出入りできるようなところがあるのかもしれない。
 それにしても。
 どうやって天井に入り込むのだ? どんな跳躍力を持った獣なのだろう。あるいは、壁やら柱やらをよじ登る能力を持った獣か? しかしそんな獣が日ごとにうろついていて、我々がその姿はもちろん、糞・足跡・土・餌・爪跡などの形跡を全く見かけないのはどういうわけだろう。
 結局のところ、本当のことは誰も知らないのだ。