これからは九州の時代

 トヨタではボーナスが200万円以上出るとか年間利益が1兆円を越えるとか景気の良い話も聞かれるが、トヨタ及びその関連会社以外は名古屋圏では軒並み不況らしい。関西では今年も阪神ファンは熱く燃えているし吉本のお笑い芸人も大人気だが、やはり産業全体に活気が無い。景気が良くなっていると謳われながらも、関西圏・名古屋圏には結局首都圏を上回るだけの産業的優位性が見つからないのだ。
 そんな中、首都圏と張り合うことのできる唯一の地区が九州だ。もともと九州は産業が脆弱で、芸能人やスポーツ選手・自衛隊員・看護婦のように地場産業に関係の無い職種の人間が多く輩出されたのもそんな理由からだと言われるほどだ。しかし、これからは違う。九州こそが産業の拠点となってゆくに違いない。首都圏や他の地域にない特性。それは、東南アジアへの距離だ。
 島国でかつ資源にも乏しい我が国は、結局のところ貿易を行わずには国民全ての生活が成り立たない。では、距離の優位性とはどれほどの差が出るのだろうか?関東から九州近辺までに必要な時間は、太平洋を横断するような大型コンテナ船で1日程度。大型タンカーや大型貨物船で1.5日程度。さほど大きくない船舶*1で2日。内航船程度の大きさの中国のボロ船だと無事にたどり着けるか分からない。往復すると考えると日数はさらに二倍。消費燃料もその日数分必要*2。それならば、アジア方面に関東から輸出するよりも、九州に工場を作って輸出した方がよい。運賃を大幅に削減できる。
 運賃についても一言。物の値段を高くするものは何かと言えば、一位は人件費で二位は運送費である。総運賃がどれぐらいなのかを凄く凄〜く大まかに言うと、品物本来の値段の30%くらいが必要*3だと考えていただきたい。企業は何百億円単位で商品を売り買いしているのだから、運賃の削減がどれほどの収益につながるかは想像に難くない。
 まぁ、そういうわけで、今九州に住んでいる人々は50年後には大都会の一等地に住んでいるような感じになるんじゃないの。多分。ただし、これを読んだ方々に一つだけお願いしたい。このようなネタは不動産関係者や大地主の方には内密に。先行投資とばかりに土地を買い占められたりすると、その結果地価が高騰し、関東圏の大企業が工場設立を行えなくなり、九州首都圏化計画も頓挫してしまう。地主を見たら敵と思え*4!!

*1:大きくないと言っても、1000〜10000トン程度の貨物は運べる。

*2:同じような理由で、米軍基地や自衛隊駐屯地なども九州及びその近辺にあるほうが便利なのだが…。だから沖縄には米軍基地ばかりがある。

*3:ちなみに保険料は3〜5%くらい。

*4:私の地元がそう。土地を手放したがらない地主ばかりがいたせいで、街中は地価だけ高く寂れているという最悪の状況。行政にも民間にも、この状況を改善できるだけの資力がない。