痴漢やセクハラを許すな!!

 先週のこと。その日仕事で訪れた外国船の船長はギリシャ人だった。私の担当は小さい船ばかりなので、船員は大抵、韓国・フィリピンなどのアジア系で、西洋人と出会う機会はめったにない。ギリシャ人船長は細かいことにうるさいという話を聞いていたので、内心のおびえを隠しながら船長の部屋を訪問した。部屋にいたのは見た目50代くらいのでっぷりした白人で、にこやかに挨拶を交わし、握手をした。この後悲劇は起きる。
 机の上に書類を出して確認などをしてもらっている最中、あろうことかこの船長は私の腰に手を回してくるのだ。そうかと思えば手を握り締めてきたりする。全く思いもかけない出来事に混乱を覚える。何をされているのかは分かるのだが、突然の出来事にどう対応していいのかが分からなかった。打ち合わせをしているので遠くに離れるわけにも行かない。もしかしてこのような行動で親愛の情を表すお国柄なのだろうかとか、わけの分からないことも考えた。結局、もう別の船にも行かなくてはならないからと伝え、逃げるように帰ってきた。しなくてはならないことをいくつかし忘れたまま。
 この船はそもそも先輩の担当なので、幸いにも二度と顔を合わせずに済んだ。後で先輩に聞いたところでは、この船長は女の子のいる店の場所などをしきりに聞いてきたというから、その守備範囲の広さに驚かされる。それにしても、恐怖と嫌悪感は後からじわじわと湧き上がってくるもので、汗ばんだ手の感触を思い出すたびに吐き気をもよおした。もしもう一度行けと言われたなら、ためらうことなく辞表を出すことだろう。
 それにしても…
生まれて初めてもてたのが男にだなんていや〜。
 それに普通、男にもてる男ってのはそれなりに美形じゃないか。どうしてよりによって私に。先輩の方がよほどいい顔立ちをしているのに。前日にシャンプーとリンスで髪をさらさらのキューティクルヘアーにしていたところがそそったのか?
 今後、私の体に触れてくる西洋人は問答無用で敵とみなす。