国際情勢に神経過敏

 現在日本ではSOLAS条約*1に対応することが義務付けられており、外航船が接岸する岸壁・桟橋では、その管理者には保安体制をとることが義務付けられている。まぁ、不審者や不審物が外航船から乗り降りしないようにきちんと管理しなさいってことですね。各岸壁・桟橋によって事情が異なるので対応方法に関しては必ずしも画一的ではないが、だいたい主な措置としては、高い金網で囲い込み、出入り口には鍵をかけ、出入りする者は名簿に名前を記載する、などがある。これで保安レベル1の対応である。

 韓国釜山で首脳会談が行われる。その期間中、釜山では保安レベルを2*2にして対応するらしい。レベル2ということはつまり、テロの危険性を充分に考慮して対応しなさいということだ。この発表に対して日本政府としては、特に保安レベルを上げて対応することはないと表明している。ああ、それなのに、それなのに。
 私の担当している場所の埠頭管理者が何を言い出すかと思ったら、釜山から来る船舶に対しては、こちらも保安レベルを2にして対応する、と言うのだ。

( ;゜Д゜)はぁ?

 ごめんなさい。意味がさっぱり分かりません。
 釜山が保安レベルを上げたのは、そこに各国の偉い方たちが集まるからテロを警戒しているわけで、まあ必要なことかなとも思う。けど、釜山から来る船は関係ないじゃん。釜山に行く船ならば、話は分かる。釜山へ乗り込もうとするテロリストたちが、通常ルートでは警戒されて釜山入りが困難であるため、釜山へ向かう貿易船に侵入・潜伏して釜山入りを果たそうとするかもしれない。だからそれを防ぐためにこちらも保安レベルを高める、と言うのならば理解できる。でも、釜山から来る船舶に対して、いったい何を警戒すると言うのだ?釜山でテロを起こした人間が、脱出のために貿易船に乗り込んで来るってか?それをされないように釜山では保安レベルが2になっているわけだし。本当にテロが起こったら、心配せずとも保安レベルを上げるようにすぐさま国が言ってきます。

 こういうわけの分からない対応は、全て我々への無償の労働となって返ってくるわけで。今はただ、全ての首脳会談が終わるまで、釜山から船がやって来ないことを祈るばかりであります。

*1:Save Of Life At Seaの略。条約の発祥はタイタニック号の沈没を受けてであり、以後改正が重ねられ、現在のSOLAS条約は昨年7月に改定されたもの。アメリカで起きた同時多発テロをきっかけに、アメリカのわがままで世界中の多くの国が半強制的に加入させられた悪法である。

*2:保安レベルは3が最高であり、これは実際に日本がテロの標的となったりした場合の対応。