個人情報の保護の仕方

 個人情報の流出が昨今取り上げられて問題になっている。うちの会社も今更ながらというか、突然ひらめいたかのように、そういうことを言い出した。「世間がするから」的な対応は好きではないのだが、必要なことだとも思うので、まぁ良しとしよう。と思ったら、どうやらうちの会社のお偉いさんは、どうやら個人情報の保護の仕方を知らないらしい。
 今でこそ社内にも随分パソコンが普及し、一人一台近くがあてがわれるようになった。しかし以前はパソコンなどなかなか入れてもらえず、部全体のメールを受けたり特定のコンピューターと接続されているパソコンくらいしかなく、空くのを順番待ちしていた。書類も手書きやタイプ打ちばかりだった。しかし上に掛け合っても埒が明かず面倒くさいばかりなので、ある先輩は自前のノートパソコンを会社に持って通っていた。ようやくパソコンが社内に普及し始めてなお、その先輩は自前のパソコンを持ってきていた。気持ちは分かる。稟議書をあげたりして、総務に色々と言われるくらいなら、自分のを使い続けた方が楽だ。
「顧客情報の流出を防ぐために、明日から個人のパソコンなどを持ってきて仕事をしてはいけません。」ある日、全く突然に部長に言われた。そんなことをしている人は部内には一人しかいなかったわけだが、全く酷い話である。代わりのパソコンはいつ来るかまだ分からない。いや、まず稟議書をあげるところから始めなくてはならないのだ。就業後、部長はその先輩のところに電話をかけていた。随分言い合いをしていたようだが、仕事に支障をきたそうと何だろうと、とにかく会社で決まったことだから持ってくるなということらしい。
 まぁ、会社のやり方にはあきれるが、それ以上に、個人情報保護の仕方が分かっていないことに私はただあきれるしかない。だって、顧客の情報がたくさん入ったパソコンを持って帰っている時点ですでに保護できてないじゃん。「今あるデータを全てフロッピーやCDに移し、パソコン内のそれらのデータを全て消去してからパソコンを持って帰って下さい」とするのが正しい保護方法である。結局うちの会社のお偉いさんたちは、個人情報の保護と世間が騒いでいるからただ行っただけで、本当のところはちっとも理解できていないのだ。