階段を一段登ると寿命が4秒延びるとか。

 今日はドックの船に行ってきました。私の担当の船は通常3000トンクラスで、さほど大きくないものばかりなのですが、今入渠しているこの船は70000トンクラス。油タンカーならばもっと大きな船はいくらでもありますが、こんな片田舎に入る貨物船では最大級の型です。
 この船はGWの頭に入渠したので、船に行ってする仕事などほとんど終わっていて、出港許可書を渡して、VOUCHER*1にサインをもらうだけ。フィリピン人の船長と世間話を少し交わして撤収しました。
 で、船を降りたところで、船員交代後の新しい船員名簿をもらうのを忘れていたことにすぐに気づき、引き返すことにしました。しかしすぐにと言っても、もう船降りちゃったしなぁ…。いえ、別に何も問題はないのですよ。ただ、遠いなぁと思っただけで。
 船の全長が230メートル。つまり直線で230メートル。野球場のホームベースからセンターのフェンスまでだって120〜130メートルくらいであることを考えていただければ、直線で230メートルという船の大きさも少しは分かっていただけるのでは。まぁとにかく、えっちらおっちらと歩かなくてはならないのですよ。そしてもっと憂鬱にさせるのが階段。試しに数えながら登ってみました。1、2、3、…25、26、27、…43、44、45、……75。やっと到着。ただし、甲板上に。船長は居住区の4階にいらっしゃる。まだ登るのかよ…。ちなみに居住区の中の階段は、段数はさほどでもない。ただし、一段一段がやや高い。貨物船たるもの、少しでも居住空間を狭くして貨物用の空間を確保しなくてはならないのだから、急な角度の階段になるのは至極当然のことで。
「Hi,captain. Please give me new crew-list」
 息が多少切れてたのは気のせいではないだろう。
 こうして余計な手間を自ら増やして、船を撤退した。そして、出港したらこちらに連絡してくれるよう頼んでおくのを忘れていたことを思い出す。非常に大切なことなので普通は直接伝えるものなのだが…、もういいや。後でメール打っておこう。多分分かってくれるだろう…。
 こうして私は次に船に向かうのであった。

*1:こちらの行った仕事の証明みたいなもの。これを請求書に添付しないと料金を払ってもらえない危険性がある。